医院開業コラム 2026.08.25 NEW

クリニック内装のデザイン事例6選|受付・待合室の選び方と計画の進め方

クリニック内装のデザイン事例(さわき眼科・形成クリニックの待合室)

クリニックや医院の内装を検討するとき、施工事例の写真は、完成後の雰囲気やデザインの方向性を具体的に思い描く手がかりになります。「おしゃれな内装にしたい」といった漠然とした好みも、写真を見比べると具体的な要望に落とし込めます。

ただし、好みの写真を選ぶだけでは、診療に必要な部屋や設備、患者とスタッフの動線、予算、開業時期までは決まりません。

本記事では、パルテクノが北海道で手がけた、診療科の異なる6つのクリニック内装のデザイン事例をもとに、受付・待合室のつくり、色、素材、サインの違いを紹介します。写真から取り入れたい要素を選び、自院の内装計画として設計者へ伝えるまでの進め方も解説します。

クリニック内装は「見た目」と「使いやすさ」で考える

クリニックの内装写真を見るときは、見た目の好みだけでなく、診療の流れや必要な設備と無理なく両立できるかを一緒に確認すると、後の計画がぶれにくくなります。

写真を見る前に、次の6項目を書き出しておくと、事例写真のどこに注目すればよいかがはっきりします。

整理項目確認する内容
診療科・患者層どのような診療を行い、どのような患者が来院するか
必要な部屋・設備診察室、処置室、検査室、スタッフ室、医療機器など
動線患者、スタッフ、物品がどこを通るか
受付・待合室受付方法、座席数、待ち方、案内表示など
色・素材・サインベースカラー、アクセントカラー、木目、照明、室名表示など
予算・開業時期設計、見積もり、施工に使える期間と予算

たとえば曲線の受付カウンターに魅力を感じても、受付でこなす業務や機器の配置、患者からの見え方によって、適した形は変わります。待合室も、椅子の色だけでなく、必要な席数や受付との位置関係とあわせて考える必要があります。気になるデザインは「自院の使い方に置き換えられるか」まで見ておくと、後戻りが減ります。

法令や診療科ごとの設計上の注意点、動線、費用の目安をまとめて知りたい方は、クリニック設計のポイントや費用目安もあわせてご覧ください。

6つのクリニック内装事例を受付・待合室・色で一覧比較

今回紹介するのは、内科・循環器内科、メンタルクリニック、眼科、小児科、皮膚科・アレルギー科、整形外科の6つの内装デザイン事例です。診療科だけで選ぶのではなく、受付の形、待合室の座席、色、木目、照明、サインなどを横断して見比べてみてください。

診療科受付・待合室写真で確認できる色・要素
内科・循環器内科白い椅子を配置した待合・通路淡いピンク、白、グレー
メンタルクリニック大きな窓のある待合、白と淡いグレーの受付木目の天井、白、グレー
眼科曲線の白い受付、黄色の椅子木目、白、黄色、グレー
小児科黄緑と黄色の椅子を置いた待合赤、青、緑、数字とイラストのサイン
皮膚科・アレルギー科曲線の受付、ベージュとオレンジの椅子明るい木目調、ベージュ、オレンジ、グレー
整形外科曲線の受付、オレンジと白の椅子オレンジ、白、黒い案内表示

気になる事例が見つかったら、次の章で写真を1枚ずつ詳しく見ていきましょう。色や形の説明は、公開写真から見て取れる範囲にとどめています。

【診療科別】クリニック内装のデザイン事例6選

事例1:待合・通路と処置室に淡いピンクを取り入れた内科・循環器内科クリニックの内装

ほんま内科・循環器内科クリニックは、2025年1月に札幌市西区で竣工した診療所です。

待合から通路にかけては、壁を淡いピンク、椅子を白、床をグレーでまとめています。

壁一面を主張の強い色にせず、淡い色を広い面で使った例です。院内を落ち着いた印象に保ちながら、色味も少し加えたいときに近い方向性になります。

ほんま内科・循環器内科クリニックの待合と通路
淡いピンクの壁と白い椅子を組み合わせた待合・通路

処置室にも、同じピンクを診察台やカーテンに取り入れています。待合だけに色を使うか、複数の部屋で同系色をそろえるかで、院内の印象は変わります。1色を「どこまで広げるか」を考える材料になります。

ほんま内科・循環器内科クリニックの処置室
ピンクを診察台やカーテンにも取り入れた処置室

事例2:木目の天井と大きな窓が見えるメンタルクリニックの内装

釧路中央メンタルクリニック新築工事は、2025年3月に釧路市で竣工した診療所です。

待合室は天井を木目、椅子を白、床をグレーでまとめ、大きな窓から光を取り込んでいます。色数を抑えつつ、天井の素材で表情を出した空間です。

釧路中央メンタルクリニックの待合室
大きな窓と木目の天井が見える待合室

受付カウンターは白と淡いグレーを基調に、上部へペンダント照明を並べています。待合と受付でベースカラーをそろえながら、木目や照明をどこに効かせるかを考えるときに見ておきたい組み合わせです。

釧路中央メンタルクリニックの受付カウンター
白と淡いグレーを組み合わせた受付カウンター

事例3:曲線の白い受付と木目を組み合わせた眼科クリニックの内装

札幌きのした眼科新装工事は、2024年3月に札幌市西区で竣工した、面積254㎡の診療所です。

受付には、曲線を描く白いカウンターと木目の壁を組み合わせています。直線と曲線で迷うときは、カウンター単体ではなく、背面の壁や床とのセットで見比べると、仕上がりのイメージがつかみやすくなります。

札幌きのした眼科の受付カウンター
曲線の白い受付カウンターと木目の壁を組み合わせた受付

受付前の待合には黄色の椅子を置き、白・木目・グレーの空間に差し色を加えています。ベースを落ち着かせて椅子で色を足す、というまとめ方の一例です。

札幌きのした眼科の待合室
黄色の椅子を配置した受付前の待合スペース

事例4:複数の色と数字のサインを使った小児科クリニックの内装

北野通こどもクリニック新装工事は、2019年9月に札幌市豊平区で竣工した、面積200.5㎡の診療所です。

待合には黄緑と黄色の椅子が並び、壁や扉には赤・青・緑が使われています。色を1色に絞らず、複数のアクセントカラーを組み合わせたい場合に見ておきたい事例です。

北野通こどもクリニックの待合室
黄緑と黄色の椅子に複数のアクセントカラーを合わせた待合室

診察室の扉には、数字・室名・線画を組み合わせたサインがあります。壁や家具の色だけでなく、案内表示まで内装の一部として考えると、院内の印象に一貫性が出ます。

北野通こどもクリニックの診察室サイン
数字とイラストを組み合わせた診察室のサイン

事例5:曲線の受付とベージュ・オレンジの椅子を組み合わせた皮膚科クリニックの内装

すみかわ皮膚科アレルギークリニック新装工事は、2019年9月に札幌市中央区で竣工した、面積215.67㎡の診療所です。

明るい木目調の曲線受付に、ベージュとオレンジの椅子、グレーの床を合わせています(木目調は写真での見え方です。実際の素材は打ち合わせでご確認ください)。受付の形と椅子の色をセットで検討したいときに向いた1枚です。

すみかわ皮膚科アレルギークリニックの受付と待合室
曲線の受付とベージュ・オレンジの椅子を組み合わせた待合室

事例6:オレンジと白を基調にした整形外科クリニックの内装

だい整形外科クリニック新装工事は、2018年11月に札幌市西区で竣工した、面積431.75㎡の診療所です。

曲線の受付、オレンジと白の椅子、オレンジの天井と壁面が1枚に収まり、黒い案内表示が全体を引き締めています。受付・待合・天井・サインまで、色の組み合わせを一度に見渡せる事例です。

色を多く使いたくない場合も、椅子や壁の一部など範囲を絞ってアクセントを効かせる、という見方ができます。

だい整形外科クリニックの受付と待合室
オレンジと白を基調にした受付・待合室

事例写真を自院の内装計画にまとめる進め方

気になる写真が見つかったら、そのまま再現しようとせず、「自院に取り入れたい要素」を選ぶための材料として使います。次の4ステップで整理すると、設計者に要望を伝えやすくなります。

1:事例の「どこがよいか」を3つの視点で分ける

「この雰囲気がよい」と感じたら、どこに惹かれたのかを次の3点に分けて言葉にします。

受付・待合室の形と配置受付が直線か曲線か、受付前にどんな空間を取るか、椅子をどう並べるか
ベースカラーとアクセントカラー壁・床・天井など面積の大きい色と、椅子・扉・サインなど部分的に足す色
木目・照明・サインなどの要素どこに木目を使うか、照明の見え方、室名や数字の案内表示

このとき、「おしゃれ」「明るい」だけで止めず、「受付は曲線にしたい」「床はグレーを基調に」「鮮やかな色は椅子だけ」のように、対象と希望をセットで書き出します。避けたい色・素材・形も控えておくと、方向性がより伝わります。

ただし、写真で分かるのは空間の一部だけです。人が実際に通る動線、受付内の作業スペース、収納、機器の位置までは写真では判断できません。ここは次のステップで、平面図や運用とあわせて確認します。

2:診療科・必要諸室・動線と照らし合わせる

次に、診療に必要な部屋や設備、座席数を確認し、選んだ写真が自院の広さや診療の流れに合うかを見ます。写真で好みのデザインでも、そのまま置き換えられるとは限らないためです。

参考写真は、次の項目と照らし合わせます。

  • 診察室、処置室、検査室など、必要な部屋
  • 導入する医療機器と、その設置に必要なスペース
  • 受付方法と、受付内で行う業務
  • 待合室に必要な席数と待ち方
  • 患者、スタッフ、物品の動線
  • プライバシーや感染対策で区切りたい区画

写真の理想と自院の条件が食い違うときは、無理に写真へ寄せず、優先したい要素から決めていきます。診療科ごとの設計要件や動線の考え方は、クリニック設計のポイントや費用目安で詳しく紹介しています。

3:参考写真に「取り入れたい部分」を書き添える

参考写真は、画像だけでなく短いメモとセットで共有します。写真全体を再現したいのか、一部だけ取り入れたいのかを、設計者が判断できるようにするためです。

たとえば、以下のように、取り入れたい点・変えたい点・確認したい点を書き分けます。

  • 曲線の白いカウンターを取り入れたい
  • 木目の壁とグレーの床も合わせたい
  • 椅子の色は黄色以外を検討したい
  • 自院の受付業務と面積で同じ形が可能か確認したい

ここまで具体化しておくと、施工会社や設計担当者が確認すべき点も整理しやすくなります。

4:予算・開業時期を添えて内装工事の相談へ進む

最後に、参考写真とあわせて、予算の考え方と開業予定時期を共有します。実現したい内装の優先順位を整理し、条件に合う設計・素材を相談するためです。初回相談の前に、次の内容を1枚にまとめておくとスムーズです。

項目記入する内容
診療科標榜を予定している診療科
開業形態新規開業、移転、改修など
物件所在地、面積、物件の決定状況
必要な部屋・設備診察室数、検査室、医療機器など
受付・待合室受付方法、希望する席数や待ち方
参考事例施設名、URL、取り入れたい部分
避けたい要素使用したくない色、素材、形など
予算・開業時期現時点の予算感と、工事を終えたい時期

要望がまとまったら、相談から内装工事の完了までは、「ヒアリング→平面プランと概算見積もりの確認→内容の調整→契約→内装工事→引き渡し」という流れで進むのが一般的です。各段階でかかる期間や費用は物件と仕様で変わるため、目安はクリニック設計のポイントや費用目安で確認してください。

パルテクノでは、医療施設やクリニックを含む建築を、企画から施工、アフターケアまで一貫して手がけています。対応内容はパルテクノの建築事業でご確認いただけます。

まとめ:施工事例でクリニック内装のイメージを固めよう

クリニックの施工事例は、完成後のイメージを具体化する材料になります。診療科だけで分けず、受付、待合室、色、素材、照明、サインといった観点で見比べてみましょう。

気になる内装のデザインや事例を見つけたら、写真に「どこを取り入れたいか」「何を変えたいか」を書き添えます。そのうえで、診療に必要な部屋や設備、動線、予算、開業時期と照らし合わせることが、具体的な内装計画への第一歩です。

パルテクノでは、北海道でクリニックや医療施設の設計・施工を手がけています。新規開業、移転、改修をお考えの方は、診療科や開業予定時期、参考にしたい施工事例を添えてご相談ください。

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