医院開業コラム 2025.01.17

個人病院のメリットとデメリットとは?開業時に押さえておきたい注意点を解説

個人病院とは、開設者が医師本人である病院施設です。

個人病院と総合病院、クリニック(診療所)は、規模の違いだけでなく、それぞれが持つ役割も異なります。

この記事では、個人で病院やクリニックを開業する場合のメリットやデメリットを紹介します。開業する際に押さえておきたい注意点も解説するので、参考にしてください。

個人病院やクリニックを開業するメリット

個人病院やクリニックを開業するメリットは、以下の3つです。

・収益が期待できる

・理想の医療が実現できる

    個人で病院やクリニックを開業すると、勤務医では得られないメリットがあります。収益面ややりがいに対するプラスの効果を見てみましょう。

    収益が期待できる

    個人で病院やクリニックを開業した場合、多くの収益を得られる可能性があります。開業した個人病院やクリニックの収益は、オーナーである医師自身が管理しやすく、利益が出ればその分収益を増やすことが可能です。

     

    病院やクリニックの収入は、「患者数×診療単価」で計算されます。個人経営の医療機関では、経営方針を医師が決定できるため、多くの患者を受け入れる体制を整えることも可能です。このため、勤務医から開業医へ転身し、高収入を目指す医師も少なくありません。

    開業によって、経営の自由度と収入の可能性が増す一方、責任も伴いますが、それが大きなやりがいとなる医師も多いです。

    理想の医療が実現できる

    個人病院やクリニックを開業することで、理想の医療を実現できることもメリットです。勤務医として働く場合は、病院の方針や体制に縛られることもありますが、開業医になれば診療方針から治療方法、医療機器まで、全てを自身の裁量で決定できます。

     

    例えば、患者一人ひとりとじっくり向き合う時間を確保する方針や特定の疾患に特化した専門的な治療法の提供、最新医療機器を導入して高度な医療を提供するなど自由度を高めることが可能です。

    開業医として、自身の理想とする医療を実現することで、医師としてのやりがいや充実感をより強く感じることができるでしょう。

    個人病院やクリニックを開業するデメリット

    個人病院やクリニックを開業するデメリットは、以下の3つです。

    多額の費用がかかる

    ・開業準備に時間を要する

    ・集客が難しい

    開業費用や手間が多くかかってしまう点で、医療機関の新設はハードルが高くなります。

    個人病院やクリニックの開業を検討する方は、事前にデメリットについても確認しましょう。

    多額の費用がかかる

    個人病院やクリニックの開業には、多額の費用が必要です。費用は施設の規模や診療科目によって大きく異なりますが、物件の取得または賃貸費用、医療機器の導入、内装工事、スタッフの人件費、広告費などが含まれます。

    また、人件費や広告料といった運転資金も加わるため、医療施設の開業には多額の資金が必要だとわかります。開業資金には、融資助成金を利用できる可能性があるため、事前に要項を確認しておきましょう。

    (参照:独立行政法人 福祉医療機構「2020 年度(令和 2 年度)福祉・医療施設の建設費について」

    開業準備に時間を要する

    個人病院やクリニックを開業するには、順番に手続きを進めていかなくてはならないため時間がかかります。開業準備を始めてから、最低でも6ヶ月は期間を要することを認識しておきましょう。

    医療機器の設置や保健所の審査は、物件の建設が終わってからスタートとなります。また、保健所に提出した開設届が受理されるのに1ヶ月以上の期間を要するため、工事が終わってもすぐに患者を受け入れられるわけではありません。

    医師や医療スタッフを雇う際も、スムーズに人員が集まるとは限らないため、余裕を持った計画で準備を進めることが必要です。

    集客が難しい

    医療機関を開業してすぐは、患者が思うように集まらない可能性があります。医療には信頼が重視されるため、患者は行き慣れた病院やクリニックを選びやすい傾向があるためです。

    特に、クリニックは病院のように紹介患者が少ないため、初診を獲得していかなくてはなりません。一人ひとりの患者に丁寧に対応し、質の高い医療を提供することで、信頼と評判を築いていくことが大切です。このような積み重ねが、患者のリピートや口コミによる集客につながります。

    また、集客については開業前から計画的に準備を進めることが重要です。地域特性や患者層をよく調査し、それに応じたサービスを提供することが求められます。

    個人病院やクリニック開業の3つの注意点

    個人病院やクリニックを開業する際は、主に以下の3点に注意が必要です。

    ・手続きが多い

    ・医療法の基準を満たさなければならない

    ・経営安定の対策が必要となる

      事前に注意点を確認し、失敗のないように開業準備を進めていきましょう。

      手続きが多い

      個人病院やクリニックを開業する際には、多くの手続きが必要です。医療を行う現場では細かい衛生審査や、保険医療を使用するための申請などが求められます。

      診療科によって必要な手続きが違うため、事前に確認しましょう。X線や麻薬を扱う場合は、追加の申請が必要になります。

      また、個人で病院やクリニックを始めるには、開業届や医療法人化の手続きも必要です。さらに、従業員を雇う場合は、社会保険に関する届出も必要となる場合があるため、確認が必要となります。

      (参照:J-Net「医院開業」

      医療法の基準を満たさなければならない

      個人病院やクリニックを開業する際は、医療法の基準を満たさなければなりません。患者の健康を扱う病院やクリニックは、医療法に基づいた設立と運営が義務付けられています。

      医療法では、医療施設の設備や従業員数、広告に関する基準が定められています。

      平成19年に改正された医療法では、神経科や呼吸器科、消化器科など9つの診療科については、広告に明記することが禁止されました。また、従業員数については、一般病院の外来において患者40人に対して医師1名を配置することが義務付けられています。

      医師免許を持っていても医療法を遵守した開業準備は難しいため、専門家のサポートを得られると安心でしょう。

      (参照:厚生労働省「広告可能な診療科名の改正について」「医療法に基づく人員配置標準について」

      経営安定の対策が必要となる

      個人病院やクリニック経営を安定させるには、開業の段階で対策しておく必要があります。長期的に安定した収益を得られるように、立地や設備、快適な空間づくりに配慮しましょう。

      個人病院やクリニックで収益を上げるには、患者数を増やすための工夫が求められます。質の高い医療のほかにも、ニーズにあったサービスや居心地の良い環境で顧客満足度は上がります。

      また、個人病院やクリニックで経営安定を図るには、従業員への配慮も重要です。特に、都心部から離れた位置にある医療機関は従業員の確保が難しいため、交通費支給や住宅手当などの待遇が求められるでしょう。

      個人病院の開業をご検討中の方はご相談ください

      個人病院やクリニックの開業を目指す際は、一度専門業者に相談するのがおすすめです。医療機関の開業サポート実績がある事業者なら、成功事例をもとに的確なアドバイスをもらうことが可能です。

      また、収益ややりがいの面でメリットのある個人病院やクリニックですが、開業の際は手続きが多く煩雑になりやすい点にも注意が必要です。開業資金の調達や集客といった部分にも配慮しながら開業準備を進めましょう。

       

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