クリニックの開業スケジュールと準備|開院までの流れと失敗しないポイントを解説
「クリニックを開業したいが、何をいつから始めればいいのかわからない」
勤務医として多忙な日々を送りながら開業を検討し始めた先生にとって、スケジュールや準備の全体像が見えないことは大きな不安要因です。
この記事では、クリニック開業に必要な準備期間の目安と、18ヵ月前から開院当日までのスケジュールを時系列で解説します。各フェーズで押さえるべきポイントやよくある失敗もあわせてお伝えしますので、開業準備の道筋をつかむ手がかりとしてご活用ください。
クリニックの開業をご検討中の方は、弊社までお気軽にご相談ください。ヒアリングや図面作成は無料で対応しております。
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■ クリニック開業に必要な期間と全体スケジュール
まず、開業形態ごとの準備期間の目安と、18ヵ月前から開院までの全体フローを整理します。
◇ 開業までに必要な準備期間の目安
クリニック開業に必要な準備期間は、開業形態によって大きく異なります。
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開業形態 |
準備期間の目安 |
うち工期 |
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テナント開業(内装工事中心) |
12〜14ヵ月 |
2〜4ヵ月 |
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戸建て新築 |
18〜24ヵ月 |
6〜10ヵ月 |
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医療モール入居 |
10〜12ヵ月 |
1.5〜3ヵ月 |
この差が生まれる最大の理由は、設計・施工にかかる期間の違いです。テナント物件の場合は内装工事が中心となりますが、戸建て新築では土地の造成から建物本体の施工まで含むため、工期が大幅に長くなります。
また、診療科によっても準備期間は変動します。手術室が必要な眼科や整形外科は、設備の設計・搬入に時間がかかるため、内科や皮膚科と比べて1〜2ヵ月ほど余裕を見ておく必要があります。
弊社がこれまでに手がけた「札幌きのした眼科」や「さわき眼科・形成クリニック」でも、手術室の設備要件に合わせた設計調整に一定の時間を要しました。
◇ 開業スケジュールの全体フロー
クリニック開業の準備は、大きく4つのフェーズに分けて進めます。
- フェーズ1:18〜12ヵ月前 → コンセプト設計・開業地選定
- フェーズ2:12〜8ヵ月前 → 事業計画策定・資金調達
- フェーズ3:8〜5ヵ月前 → 設計・内装施工
- フェーズ4:5ヵ月前〜開院 → 届出・採用・広報・開院準備
弊社ではグループのネットワークを活かし、フェーズ1のコンセプト設計からフェーズ3の施工完了まで一貫してサポートしています。各フェーズは前後で重なる部分もあり、すべてが直列に進むわけではありません。特にフェーズ1のコンセプト設計が曖昧なまま先に進むと、後のフェーズで方針のブレが生じ、手戻りが発生します。
なお、2026年4月に施行される改正医療法により、開業地によっては従来より早い段階で都道府県への届出が必要になります。詳細は本記事の後半で解説します。
■ 【フェーズ1】18〜12ヵ月前|コンセプト設計と開業地選定

開業準備の最初のフェーズでは、診療コンセプトの整理と開業地の選定を行います。この段階の判断が後のすべてのフェーズに影響するため、時間をかけて取り組む必要があります。
◇ 診療コンセプトの明確化と開業地選定
開業準備の第一歩は、「どんなクリニックを、どこで開くか」を決めることです。まず、以下の3つの軸でコンセプトを整理します。
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軸 |
検討内容 |
設計への影響 |
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診療方針 |
専門分野に特化するのか、多角的に診るのか |
必要な設備やクリニックの規模が大きく変わる |
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ターゲット患者層 |
年齢層、居住エリア、通院頻度 |
高齢者が多い地域ではバリアフリーや駐車場、ビジネス街では夕方以降の診療対応が求められる |
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医療サービスの範囲 |
日帰り手術の有無、検査設備の充実度など |
開業資金の規模や必要な面積に影響するため、早い段階で方針を固めておく |
コンセプトが固まったら開業地の選定に入ります。「診療圏調査」で半径1〜2km圏内の人口・年齢構成・既存医療機関の数を調べ、見込み患者数を算出するのが基本です。開業地の選択肢はテナント、戸建て、医療モールの3つが主流で、それぞれ初期費用、自由度、集患のしやすさが異なります。
弊社では、開業地の選定・提案もサポートしています。設計・施工の視点から見た物件の適性(構造、設備容量、改修の可否)も含めてアドバイスできるため、「診療圏調査ではよい立地だが、物件の構造的にクリニックへの改修が難しい」といったミスマッチを事前に防げます。
◇ 開業地選定でよくある失敗パターン
弊社がこれまでに開業支援を行ってきた中で、よく見られる失敗パターンをご紹介します。
・人口データだけで立地を判断してしまう:人口が多くても同じ診療科が密集していれば、期待通りの集患はできない
・駐車場の確保を後回しにする:特に郊外のクリニックでは、十分な駐車スペースがないと来院数の減少につながる
・建物の構造上の制約を見落とす:天井高の不足、床の耐荷重不足、給排水の配管制約、電気容量の不足など、契約後に発覚するトラブルは少なくない
特に構造上の制約は、図面や写真だけではわからない部分も多く、実際の現地確認が欠かせません。
弊社では、物件の内見に同行し、施工の観点から適性を評価するサービスも提供しています。契約後に「改修できない」という事態を未然に防げます。
■ 【フェーズ2】12〜8ヵ月前|事業計画策定と資金調達
コンセプトと開業地の方向性が固まったら、事業計画書の作成と資金調達に進みます。ここでは、事業計画の構成要素と主な資金調達先、資金計画の注意点を解説します。
◇ 事業計画書の作成と資金調達の進め方
事業計画書には、診療方針と目標患者数、収支計画(3〜5年分)、設備投資計画、返済計画を盛り込みます。金融機関の融資審査では、収支計画の妥当性が最も重視されるため、診療圏調査のデータに基づいた根拠を示せるかどうかがポイントです。
主な資金調達先は、日本政策金融公庫、民間銀行、福祉医療機構(WAM)の3つです。融資限度額や返済期間は制度によって異なるため、複数の金融機関に並行して相談し、金利条件や返済期間を比較検討するのが一般的です。診療科目別の開業資金の目安や必要な手続きについては、「クリニック開業に必要な資金は?」の記事で詳しく解説しています。
内装工事費や医療機器購入費は診療科によって大きく異なるため、弊社では診療科別の費用目安をまとめた無料資料もご用意しています。資金計画の参考にぜひご活用ください。
◇ 資金計画で失敗しないためのポイント
資金計画でよくある失敗は、初期費用にばかり目が向き、運転資金を十分に確保しないケースです。開業直後は患者数が安定するまで3〜6ヵ月かかるのが一般的で、最低でも6ヵ月分の運転資金を手元に確保しておく必要があります。
もう1つの失敗は、設備投資の過大見積もりです。開業初期は患者数に見合った設備構成にとどめ、収益が安定してから段階的に投資を拡大する方が、資金繰りの面で安全です。医療機器はリースを活用すれば初期費用を抑えられますので、購入とリースのバランスも検討してみてください。内装工事費についても、設計段階で要望を盛り込みすぎると当初の見積もりから大幅に膨らむケースがあります。「診療に直結する設備」と「あれば望ましい設備」を分けて優先順位をつけることが、予算内に収めるコツです。
弊社では、事業計画策定の初期段階から内装工事費の概算見積もりをご提示しています。設計・施工を担当する立場から精度の高い見積もりを早い段階で出せるため、金融機関への融資申請資料にも具体的な工事費を組み込めます。
■ 【フェーズ3】8〜5ヵ月前|設計・内装施工

設計・施工はクリニックの完成度を左右するフェーズです。施工会社の選び方、工期の目安、よくあるトラブルと対策について解説します。
◇ 設計事務所・施工会社の選び方
クリニックの設計・施工は、実績のある会社に依頼することが重要です。確認すべきポイントは、クリニック設計の実績、設計から施工まで一貫対応できるか、開業後のフォロー体制の3つです。
設計と施工が別会社の場合、設計意図が施工に正確に反映されず、追加の調整コストが発生するリスクがあります。また、開業後にも設備の不具合対応やレイアウトの微調整が発生することがあるため、施工会社のフォロー体制も長期的な視点で確認しておくべき項目です。
弊社では、設計・監理・施工のすべてを一貫して対応しています。眼科、内科、小児科、皮膚科、整形外科、耳鼻咽喉科など幅広い診療科で施工実績があり、診療科ごとに異なる設備要件や動線設計のノウハウを蓄積しています。詳しい施工実績は「クリニック施工実績一覧」でご覧いただけます。
◇ 内装設計から施工完了までの流れ
内装工事の流れは、ヒアリング → 図面作成 → 設計確定 → 施工 → 完了検査です。弊社では、ヒアリングと図面作成は無料で対応しています。
テナント物件の内装工事の工期は2〜4ヵ月程度が目安です。ただし、手術室が必要な眼科では空調設備の要件が厳しく標準的な内科と比べて1〜2ヵ月ほど余分にかかる場合があります。物件がスケルトンか居抜きかによっても工期は変わります。弊社がこれまでに手がけた施工では、テナントの新装工事で概ね2〜3ヵ月程度の工期で完了しているケースが多い傾向にあります。
このような工期で無事完工し進められる背景には、上述フローでいうところの「設計確定」というオーナー様に寄り添い施工内容を確定するフェーズが非常に重要だと考えています。限られた期間の中ではありますが、オーナー様が望むものを我々が導きリードさせて頂きまして、各種要件の確定をしていきます。
弊社では、先生の予算に合わせたコスト調整もご提案しています。例えば、患者が直接目にする待合室や受付周りにはデザイン面の投資を集中させ、バックヤードはコストを抑えた仕様にするといった配分は、限られた予算で最大の効果を出す工夫の1つです。
開業費用の詳しい内訳を知りたい方は、弊社の無料資料もご活用ください。
◇ 設計・施工段階でよくあるトラブルと防ぎ方
弊社がこれまでの施工で経験してきた中で、特に注意していただきたいトラブルをご紹介します。
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トラブル |
内容 |
弊社での対策 |
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設計変更による工期遅延 |
施工開始後の変更は追加費用と工期延長の原因になる |
CGパースや3Dモデルで事前に完成イメージを共有 |
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動線設計の失敗 |
患者動線とスタッフ動線が交差すると診療効率が低下する。受付→診察室→検査室の動線は開業後の変更が難しい |
設計段階で診療フローをシミュレーション |
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機器搬入を考慮しないレイアウト |
廊下幅やエレベーターサイズの不足で大型機器が入らない |
医療機器メーカーとの打ち合わせに参加し、機器仕様を踏まえた設計を実施 |
弊社が手がけたクリニックの施工事例もぜひご覧ください。
■ 【フェーズ4】5ヵ月前〜開院|届出・採用・広報と開院準備
開院5ヵ月前からは、医療機器の選定、行政手続き、スタッフ採用、広報を並行して進めます。やるべきことが多いフェーズのため、スケジュール管理が特に重要です。
◇ 届出手続き・採用・広報のスケジュール
大型医療機器(CT、MRI、内視鏡システムなど)は受注から納品まで2〜3ヵ月かかるため、遅くとも開院4ヵ月前までに発注を済ませておく必要があります。電子カルテの選定もこの時期に進めておきましょう。
主な届出手続きのスケジュールは以下のとおりです。
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届出先 |
届出内容 |
時期の目安 |
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保健所 |
診療所開設届 |
開院後10日以内(事前相談は2〜3ヵ月前から) |
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地方厚生局 |
保険医療機関指定申請 |
開院の1〜2ヵ月前(指定まで1〜2ヵ月) |
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消防署 |
防火対象物使用開始届 |
内装工事着手前 |
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税務署 |
開業届 |
開院後1ヵ月以内 |
医療法人として開設する場合は事前の許可申請が必要であり、スケジュールがさらに前倒しになります。
スタッフの採用は求人掲載から決定まで2〜3ヵ月程度を見込み、開院1ヵ月前には研修に入れるのが理想です。ホームページ制作は開院3〜4ヵ月前に着手し、あわせてGoogleビジネスプロフィールの登録も早めに済ませておきましょう。開院1〜2週間前には内覧会を実施し、近隣住民や医療関係者に院内を公開して認知度を高めます。
開院1週間前からは、医療機器の動作確認、電子カルテ・レセコンの連携テスト、スタッフ全員でのオペレーションリハーサルなど、最終チェックを行います。特に「カルテ入力→会計→レセプト出力」の一連のフローは、実際に近い形で通しテストしておくと開院初日のトラブルを防げます。
なお、スタッフ採用や広報・マーケティングについては弊社の対応範囲外ですが、グループのネットワークを活かして信頼できるパートナーをご紹介することも可能です。
■ 2026年4月施行 クリニック開業規制の影響と対策

2026年4月から新たな開業規制が施行されます。ここでは規制の概要と、開業スケジュールへの影響を整理します。
◇ 医療法改正による開業規制の概要
2025年12月に成立した改正医療法により、2026年4月から新たなクリニック開業規制が施行されます。「外来医師過多区域」に指定された地域で新たにクリニックを開設する場合、開業6ヵ月前までに都道府県知事への届出が必要になります。
対象となる「外来医師過多区域」は、外来医師偏在指標が一定以上の地域で、都市部の一部が該当する見込みです。届出を行った開業希望者に対して、都道府県知事は在宅医療など地域で不足する機能の提供を求めることができます。届出をせずに開業した場合や求めに従わなかった場合には、保険医療機関の指定期間を通常の6年から3年に短縮するといった措置がとられる可能性があります。
◇ 開業スケジュールへの影響と今やるべきこと
この規制により、開業地選定の段階で「外来医師過多区域」に該当するかの確認が必要になり、事前届出の分だけスケジュール全体に余裕を持たせる必要が出てきました。
これから開業を検討される先生は、以下の3点を意識しておくことをおすすめします。
・自分の開業予定地が対象区域に該当するかの確認(各都道府県の「第8次医療計画」で外来医師偏在指標を確認可能)
・在宅医療への対応を視野に入れたコンセプト検討
・厚生労働省「医師偏在対策」関連ページでの最新動向チェック
参考:医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ|厚生労働省
弊社でも、最新の規制情報を踏まえた開業スケジュールのご相談を無料で承っていますので、お気軽にお問い合わせください。
■ 余裕を持ったスケジュールでクリニック開業準備を進めよう

本記事では、クリニック開業に必要なスケジュールを、18ヵ月前から開院当日まで時系列で解説しました。
テナント開業で12〜14ヵ月、戸建て新築で18〜24ヵ月の準備期間が必要であり、コンセプト設計、開業地選定、事業計画策定、資金調達、設計・施工、届出手続き、スタッフ採用、広報と、多岐にわたる準備を並行して進めることになります。
2026年4月施行の改正医療法による開業規制も、開業地や準備スケジュールに影響を及ぼす可能性があるため、最新の情報を把握しておくことが大切です。
開業準備を成功させるポイントは、早い段階で全体像を把握し、各フェーズの準備を計画的に進めることです。特に設計・施工のフェーズは、クリニックの完成度と患者の満足度に直結します。
信頼できるパートナーと早めに連携し、余裕を持ったスケジュールで進めることが、開院日を計画通りに迎える確実な方法です。
弊社では、設計・監理・施工の一貫対応と、グループのネットワークを活かした総合的な開業支援を行っています。眼科、内科、小児科、皮膚科、整形外科、耳鼻咽喉科など多くの診療科で施工実績があり、診療科ごとの設備要件や動線設計のノウハウを蓄積しています。
初回のヒアリングと図面作成は無料で対応しておりますので、まだ構想段階の先生でもお気軽にご相談ください。「こんなクリニックを作りたい」というイメージをお聞かせいただければ、それを形にするスケジュールと費用感をご提案いたします。